不動産に関するコラム
老人ホームの入居と自宅(空き家)の処分
人生100年時代と言われる中で、核家族化も定着し、老後については子供たちの世話にはなりたくないとの考えから、同居よりも老人ホームの入居を希望する方が増えています。
そのような場合、老人ホーム等への入居を検討する際に、自宅(空き家)を売却するかどうかを考える必要があります。
高級優良老人ホームは入居一時金や毎月の月額利用料が高額となるため、その資金に充てるべく自宅の売却を検討するケースや、金融資産を多くお持ちの富裕層の方でも、自宅に子供たちが住む予定もなく、空き家になるので売却を検討されるケースがあります。
最近、空き家問題はよくクローズアップされていますが、空き家の問題点としては下記が挙げられます。
- 空き家になり、管理がおろそかになると一気に老朽化が進む
- 屋根や壁が傷み、周囲の景観が損なわれる、治安も悪くなり近隣に迷惑がかかる
- 空き家により第三者に損害を与えた場合、所有者に責任が生じる
- 空き家を放置して周囲に危険を及ぼす可能性のある「特定空き家」に指定されると、固定資産税が上がる
このように、これからの超高齢化社会においては、自宅(空き家)の処分をどうするかという課題が重要になってきます。自宅が都市部にあり、リフォームして賃貸に出すことが出来る立地であれば、慣れ親しんだ自宅を売却しなくても良いでしょう。
ただ、賃貸に出すにしても管理する方が必要なので、子供たちに頼むことが出来れば問題ありませんが、そのような手間暇を掛けられない場合には売却することを考える必要があります。
自宅を売却すると、原則として譲渡所得税がかかってきます。不動産の譲渡所得は譲渡価格から取得費及び譲渡費用を差し引いて算出した譲渡益から、特別控除などを控除して計算します。
※不動産の譲渡所得税については土地建物の譲渡所得にかかる税金のページを参照してください。
自宅売却に関して税制の優遇措置
1.マイホーム(居住用財産)売却の3,000万円の特別控除
自宅を売却した際に得られる利益(譲渡所得)に対し、3,000万円の特別控除があるため、譲渡所得が3,000万円以下の場合、譲渡所得税がかかりません。
- 主な適用要件
- 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること
- その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと
- 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと
2.空き家売却の3,000万円の特別控除
相続した空き家を売却すると、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(以下、「空き家特例」といいます)が受けられます。
不動産を売却した際の譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。
老人ホームに入居していたとしても、下記の要件を充たせば適用することができます。
- 介護保険法に規定する要介護認定や要支援認定等を受けていた被相続人が老人ホーム、介護医療院、サービス付き高齢者向け住宅等に入居又は入所していたこと
- 被相続人が老人ホーム等に入所した時から相続開始の直前まで、被相続人が主としてその老人ホーム等に居住していたこと
- 被相続人が老人ホーム等に入所した時から相続開始の直前まで、その家屋が被相続人の物品の保管等に使用されており、事業や賃貸などに使用されていなかったこと
空き家特例の詳細な要件は下記ページを参照してください。
⇨
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
3.相続税の小規模宅地等の特例
相続開始日に被相続人が老人ホームに入居していたとしても、下記の要件を充たしていれば、自宅について小規模宅地等の特例の適用が可能となります。
※小規模宅地等の特例の詳細は小規模宅地等の特例ページを参照してください。
- 被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること
- 被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと
- 入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。
- その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと
このように老人ホームに入居した場合でも、一定の要件を充たす場合にはマイホーム売却の特別控除、空き家売却の特別控除が適用可能ですし、老人ホームに入居した後に相続が発生した場合でも一定の要件を充たせば、相続税の小規模宅地等の特例の適用が可能となります。
当オフィスでは優良な老人ホームと業務提携しており、信頼できる老人ホームご紹介できますので、お気軽にご相談ください。
滋賀家大津市の住宅型優良老人ホーム コンソルテ新緑苑
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