平成27年の相続税の改正により、基礎控除が引き下げられ、相続税申告の対象となる方が大幅に増えました。
富裕層のご家庭で生前に相続税対策に取り組まれている方や会社経営されている方は、懇意にしている顧問税理士がいるため、いざ相続が発生した場合には顧問の税理士に依頼されるでしょう。
一方、サラリーマンや主婦の方で普段税理士との付き合いがない場合には、相続が開始してから相続税申告を依頼する税理士を初めて探すことになります。
当オフィスに相続税申告を依頼されたお客様から、「最初はどの税理士に頼めば良いかわからなかった、税理士は知っていても、相続税を得意としている税理士は知らないのでどこに頼べばよいか分からず困っていた」とのお話をよくお聞きします。
そこで、当ページでは相続税申告で初めて税理士を探す方に向けて、税理士を探すポイントを簡単にご案内します。
税理士事務所は、友人・知人、司法書士・弁護士等の士業、銀行等の金融機関、葬儀社からの紹介やインターネットで探すことができます。
特に最近は相続専門のホームページを掲載している事務所も増えているので税理士を探すこと自体は簡単です。
友人・知人も税理士を多く知っているわけではないので、紹介された税理士が相続税に詳しいとは限りません。最近は葬儀社からの紹介営業が多いみたいですが、紹介された税理士は葬儀社に紹介料(税理士報酬の20%~40%)を支払うため、その分料金に上乗せされることになります。銀行や証券会社等の金融機関と提携している税理士も紹介料を支払っていることがよくあります。紹介が決して悪いわけではありませんが、その分費用が高くなる傾向はあります。
インターネットで探す方法も主流ですが、税理士紹介のサイトの活用はあまりお勧めできません。それこそ紹介会社に多額の紹介料(報酬の50%?)を支払う必要があるため、税理士側も見かけの報酬に見合った労力をかけることができず、サービスの品質確保が難しくなるためです。このような紹介会社に集客を頼っている税理士事務所で、相続税申告に精通している事務所は多くないと思われます。
インターネットで税理士を探す場合には、まずはその税理士事務所のホームページを吟味して、信頼できそうな事務所を候補に挙げることかスタートです。ホームページも税理士を探す上で十分参考にはなりますが、実際に会って相談してみないことにはお客様にとって‘良い税理士’かどうかは分かりません。Googleマップの口コミを集めている事務所もありますが、お願いベースで投稿してもらっているため、鵜吞みにはできません(自主的に投稿される相続人は通常いませんので。。)
よって、税理士を選ぶ際は、複数の税理士事務所を訪問し、実際に面談してご自身に合った税理士を選ばれることをおススメします。
最近は、初回面談を無料にしている事務所も増えているので、気軽に相談されたら良いでしょう。
税理士との初回面談では、相続税の見込額と相続税申告の費用について必ず確認するようにしましょう!
★相続税の見込額
お客様が税理士事務所を訪問して、確認すべきことは面談している税理士が相続税申告についての知識・経験が豊富であるかどうかです。
相続税申告についてノウハウがある税理士であれば、お客様の相続財産の資料及びヒアリングにより、初回面談の際に納付すべき相続税の概算は計算できるはずです(相続財産の資料が揃っていることが前提ですが)。
よって、初回面談で相続税の見込額をその場で回答できるかどうかで、その税理士が相続税に精通しているかどうかはある程度判断することができるでしょう。
★相続税申告の費用
税理士と面談したら、相続税申告に係る見積書をもらうようにしましょう。
従来は、例えば相続財産の1%といったアバウトな見積りだったり、見積書を出さない事務所も多かったですが、最近は明朗会計の流れになっているので、見積書を出す事務所は増えているでしょう。
あくまで見積書ですので、実際に業務に着手した後に新たな財産が見つかった場合や、当初の予定より財産の評価が複雑になった場合等は、報酬も見直しが入ることになりますが、相続税申告の経験が豊富な税理士であれば、相続財産の内容が分かれば、相続税申告の作業内容も予測がつくので、初回面談の際に相続税申告の見積書は出してくれるはずです。
また、相続税申告については着手金の支払い(報酬の50%等)が求められるケースが多いので、費用の支払い方法についても確認しておきましょう。当オフィスでは特殊なケースを除き、契約時に着手金は頂いておらず、相続税申告書の作成が完了した後に報酬を頂く形を取っております。
実際に複数の税理士事務所に訪問されると、事務所によって税理士報酬が全然違ったりするので驚かれることがあります。
相続税申告はお客様の相続内容によって、千差万別であるため、単純に報酬が安い高いで比較するのは難しいのが実情ですが、税理士費用を比較する上でも、相続税申告の経験豊富な税理士を前提に比較検討すべきかと思われます。
相続税申告に詳しい税理士が作成した申告書であれば、税理士も基本的に財産評価基本通達というルールに従って相続税申告書を作成する以上、特別複雑な案件でなければ税理士によって申告内容に大きな差が生じることは少ないと考えられます。
一方、相続税申告に詳しくない税理士だと申告書のレベルが低く、ノウハウ不足で相続税が無駄に高くなっていたり、後の税務調査で追徴課税される可能性もあるため、費用面だけで比較検討することができなくなります。
また、遺産総額が大きいかそうでないかによっても税理士費用の判断基準は変わってきます。
【遺産総額が高額な方】
遺産総額が高額な方、遺産に土地が多いケースや非上場株式があるケースでは、相続税申告が複雑になるため、単純に税理士費用の高い安いで判断することはできません。
相続税申告が複雑で税金が高額になる方は、税理士によって納税額が大きく変わる可能性があるため、費用面だけで比較検討することは馴染みません。
相続財産の評価方法の説明、相続税の見込額、節税方法の説明等を税理士から聞き、値段だけではなく、専門化として信頼できるか否かで税理士を選択すべきと考えます。
また、遺産に占める土地の割合が多い方は、税理士が不動産実務に詳しいかを確認するために宅地建物取引士(宅建士)の資格を有しているか確認するのも一つの方法でしょう。
【遺産総額が高くない方】
相続税申告は必要であるが、小規模宅地の特例や配偶者控除の特例等を適用すれば相続税がかからない方、相続税がかかっても金額が小額な方は、税理士費用の金額によって税理士を選択されても良いと思います。
都市部の一等地のターミナルビルにオフィスを構えている大手税理士事務所は、家賃等も高額で事務所経費が嵩むことやブランディングの点からも相続税申告の報酬は高くなる傾向にあります。
一方で一等地のビルの住所がホームページに明記されていても、実際はレンタルオフィスの場合もあるので、アドレスでは事務所の実態・信用面を判断できないこともあります。
最近は相続税申告に取り組む税理士事務所が増えてきたため、GoogleやYahoo!のインターネット広告費が高騰しています。広告宣伝費が多額な事務所は広告費を回収するために、報酬を高くせざるを得ないという背景もあります。GoogleやYahoo!で検索した場合、最初の上位数件は広告枠で占められています。ここに掲載されている事務所は多額の広告費を支払って集客しています。広告枠より下のサイトはGoogleの評価に基づいて純粋に順位付けされている(お金を払っていない)ので、参考にできるホームページと考えて良いでしょう。
また、最近は葬儀会社や証券会社等の金融機関から税理士を紹介されるケースが多いですが、紹介された税理士事務所は葬儀会社等の紹介元に紹介料を支払うため、その分相続税申告の費用が高額になる傾向があります。
なお、スタッフを多く抱えている大規模な事務所は、実際の相続税申告の作業を実務経験の浅いスタッフが担当することがあります。当然、人材育成の点からも必要なことではありますが、心配な方は担当者の経験や資格の有無等を確認された方がよいでしょう。この辺りは総合病院と個人医院(クリニック)の違いと同じような話です。
平成27年税制改正で相続税申告が必要となった方のように申告内容がシンプルで支払う相続税が小額の方は、税理士報酬が高い事務所に相続税申告を頼む必要性は低いと考えられます。
相続税の報酬面だけに着目して安い事務所に依頼しても、手を抜いた相続税申告書で相続税が高くなってしまっては、結果的に支払うコストは高くなってしまいます。
また、税務署との交渉が苦手な税理士は、税務調査で指摘されることを嫌い、最初から税務署寄りの申告書を作成することがあります。
このような申告書を作成する税理士は、はなから税務調査が入らなかったり(税務署も事前に調べて追徴課税できる調査先を選定しているので)、入っても指摘事項がなかったりするので、一見良い税理士のように思われますが、結果的に余計な相続税を払っていることになります。税務調査が入る確率の低さを必要以上にアピールしている事務所もあるかと思いますが、申告内容が保守的すぎないか確認した方が良いでしょう。特に複数拠点を有している大きな事務所になると、各支店で責任問題が発生しないように、保守的な判断をする傾向がなります。税理士法人は無限連帯責任制を採用しているため、ある支店で賠償責任問題が発生すると社員税理士全員に責任が及ぶことになるためです。相続税申告は難解な土地の評価、生前贈与や名義預金の判定等、白黒がはっきりしない論点も多いです。このようなグレーゾーンは非常に悩ましい問題ではありますが、過度に税務署寄りの申告をする税理士ではなく、お客様にとって有利となるような申告書を作成する誠実な税理士に依頼されるべきでしょう。
また、実際の相続税申告書の作成業務を税理士資格のない職員に丸投げせず、税理士自身が関与して作成しているかも面談時に確認した方が良いでしょう。
平成27年の相続税改正の影響で最近はマスコミ等で相続税が取り上げられる機会が増えていることもあり、当事務所でも相続税対策の相談が増えています。
相続税対策は、本来被相続人の方が取り組むべきものですが、実際のところは高齢となった被相続人が積極的に取組むというケースよりも、相続税を払う側である相続人の方が将来の税金を心配して相談に来られるケースが多いように思われます。
ご高齢になられると被相続人ご自身で相続税対策に積極的に取組むというのは意思能力の面もあり難しい面があるため、相続人の方から親御さんに相続税対策を働きかけるのが最初の一歩になるかと思います。
さて相続税対策を考える時にどこに相談するかですが、最近は税理士事務所だけではなく(信託)銀行、証券会社、保険会社、不動産会社等も頻繁に相続対策セミナーや相談会等を開催しています。このような大手企業がやっているセミナーは安心感もあり、比較的参加しやすいと思います。
当然ですが、それぞれの会社のセミナーの目的は相続税対策という切り口で自社の商品・サービスの営業に繋げることですから、それぞれの業種によりアピールする相続税対策の内容は変わってきます。金融機関であれば、自行の融資・預金残高の増加、教育資金贈与、投資信託、生命保険・個人年金等の販売が目的ですし、不動産会社であれば、相続税対策として不動産の購入、アパート建設等に繋げるのが目的になります。
こういったセミナーや相談会などは、税理士がタイアップしていることも多いですが、税理士としても主催している会社の目的は分かっているので、主催者側の意向を配慮することが求められてきます。下請け税理士に成り下がり、アドバイスの内容が主催者側・紹介元の会社の意向に偏りすぎていないか、お客様の立場になって最適なアドバイスしてくれているかという点は気にされた方が良いと思います。
以上、相続税申告を依頼する税理士を探すときのポイントについて簡単に書きましたが、大事なことは、実際に面談してお客様自身の目で信頼できる税理士を選ぶことです。
相続税申告は着手してから完了するまで数ヶ月かかる作業であり、お客様と税理士との信頼関係が円滑な相続税申告を行う上で最も大事な要素となります。
当事務所では初回の無料相談を随時実施しておりますので、相続税でお困りの方はお気軽にご相談ください。
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