相続税基礎知識に関するコラム
相続税の対象となるもの
相続税の対象となるのは、原則として、被相続人が死亡したときに持っていた全ての財産が相続財産になります。
一般的な相続財産は以下の通りです。
- 現金
- 預金
- 土地
- 建物(家屋)
- 株式
- 債権(国債など)
- ゴルフ会員権
- 一般動産(家財など)
- 骨董品
- 個人事業の資産(売掛金・棚卸資産など)
例外として、社会的政策により、以下の財産は相続財産となりません。
- 心身障害者共済制度に基づく給付金の受益権
- 先祖をまつる礼拝の対象となっている物(墓地・墓石・仏壇など)
- 宗教、慈悲、学術など、公益を目的とする事業を行う人で、 要件を満たす人が取得した公益事業用の財産
- 相続財産を相続税の申告期限までに、国、地方公共団体、特定の公益法人に寄付した場合の寄付財産
また、被相続人が所有している財産以外で、相続財産となるものがあり、これをみなし相続財産と言い、相続税が課せられます。
みなし相続財産として、主なものは以下の通りです。
- 生命保険金、生命保険契約に関する権利
- 損害保険金
- 退職手当金、死亡退職金
- 功労金・慰労金
- 定期金に関する権利・・・生命保険会社の個人年金など、被相続人が掛け金を支払っていて、年金の受取人が被相続人以外の場合である受取年金も、みなし相続財産となります。たとえ、相続開始したときに年金の給付が開始されていなくても、相続税が課税されます。
- 相続開始前7年以内に被相続人から贈与された財産(令和6年1月1日以降に贈与された財産については、加算期間が相続開始前3年以内から7年以内へ延長)・・・被相続人の配偶者で、贈与税の配偶者控除を受けている場合は対象外。
- 信託受益権・・・遺言によって信託があった場合、信託を委託した人以外の人が、信託からの利益を受ける場合には相続税が課税されます。
- 低額の譲り受け・・・遺言によって、本来の時価よりかなり低い価格で財産を取得したときは、時価と売買価格の差額に対して、相続税が課税されます。例えば、遺言の記載で、相続人に時価 1億円の土地を5,000万円で売却するようにしていた場合などです。
- 債務の免除・・・遺言によって、借金を肩代わりしてもらったりした場合、その金額に対して相続税が課税されます。
なお、
生命保険金は相続税の非課税枠があります。
生命保険は以下の算式の金額分だけ保険金額より控除できます。
500万円×法定相続人の数
※生命保険金がみなし相続財産となるのは、被保険者(保険をかけられた人)と保険契約者(保険料の支払者)が被相続人で, 保険金受取人が相続人の場合です。
<例>夫が死亡し、妻と子供1人が相続する場合 → 500万円×2人=1,000万円
よって、非課税額=1,000万円
なお、被相続人の債務(借金など)も相続の対象となります。
よって、相続税の対象は、「すべての財産 + みなし相続財産 ― 相続税の対象とならないもの ― 債務(借金など)」となります。