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    コラム

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    相続税基礎知識に関するコラム

    土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価

    土砂災害特別警戒区域内にある宅地を相続税評価(土地)の減額対象とする制度が定められました。(平成30年12月10日付 財産評価基本通達20-6 新設)

    1.土砂災害特別警戒区域とは

    近年、傾斜が急な山が多い日本は、台風や大雨等が引き金となって、がけ崩れや土石流、地すべりなどによる土砂災害が全国各地で多数発生しております。
    これらの災害により建築物に損壊が生じ、住民等の生命又は身体に著しい危害が生じるおそれがある区域を土砂災害防止法に基づき土砂災害警戒区域(警戒区域)と定め、その中でも著しく災害リスクが高い区域を土砂災害特別警戒区域(特別警戒区域)と指定されています。
    土砂災害のおそれのある特別警戒区域内に有する地区かどうかは、各市町村が作成している災害リスク情報が表示されたハザードマップで確認できます。
    ※データは都道府県が指定した土砂災害の警戒区域を、色分けで表示されています

    • 土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)
    • 土砂災害特別警戒区域(通称:レッドゾーン)

    2.土砂災害警戒区域内にある宅地の評価方法

    各地での特別警戒区域の指定件数の増加傾向を踏まえ、相続税の土地の評価減として新設されたのが、土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価です。
    相続税の対象となる土地が、特別警戒区域内に一部でも有する場合は、この評価減の対象となります。
    これは、特別警戒区域部分の地積の割合に応じて、下記の特別警戒区域補正率表の一定の補正率で減額補正が適用される相続税の評価方法となります。

    ■特別警戒区域補正率表

    特別警戒区域の地積 補正率
    総地積
    0.10以上 0.90
    0.40以上 0.80
    0.70以上 0.70

    3.特別警戒区域内にある宅地の評価の注意点

    • 課税時期に土砂災害防止法に基づき指定された特別警戒区域内であること。 (※土砂災害警戒区域内(イエローゾーン)であっても、特別警戒区域内(レッドゾーン)でなければ土地評価減の対象とはならない)
    • 倍率地域に所在する特別警戒区域内にある宅地については、倍率方式で評価。 (※すでに固定資産税評価額に減価が考慮されていると考えられるため、土地の評価減の対象とはしていない)
    • 市街地農地等が特別警戒区域内にある場合は、今回の評価減の適用対象となる。

    4.土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価の計算例

    イメージ図

    • 総地積:400㎡
    • 特別警戒区域内となる部分:100㎡
    • 特別警戒区域補正率:0.90
      (総地積に対する特別警戒区域となる部分の地積の割合は0.25となり、特別警戒区域補正率表を参照し、減額となる補正率を決定する)

    自用地の評価額

    路線価100,000円×奥行価格補正率1.00×特別警戒区域補正率0.90×地積400㎡
    =評価額36,000,000円


    5.特別警戒区域内にある宅地でがけ地等を有する場合の計算例

    イメージ図

    ■がけ地

    がけ地地積 南斜面
    西斜面
    200.0000㎡
    東斜面
    北斜面

    ⑥200.0000
    がけ地割合 (⑥がけ地地積) 200.0000㎡ ÷ ①の地積 400.0000㎡ 0.5000
    がけ地補正率 (がけ地地積)
    (A)南斜面
    (B)東斜面
    (C)西斜面
    (D)北斜面

    200.0000㎡ ×

    0.82 =

    164.0000
    ((A)+(B)+(C)+(D)) = 164.0000÷⑥= 0.82

    • 総地積:400㎡
    • 特別警戒区域内となる部分:300㎡
    • がけ地(南方位)の地積:200㎡
    • 特別警戒区域補正率:0.57
    がけ地補正率の適用がある場合は、特別警戒区域補正率表の補正率にがけ地補正率を掛け合わせた補正率が減額となる補正率となる。(0.5を下限とする)
    ※1特別警戒区域補正率表の補正率0.70× ※2がけ地補正率0.82
    =0.574(小数点以下2位未満切捨て)

    ※1 特別警戒区域補正率:0.70
    (総地積に対する特別警戒区域となる部分の地積の割合は0.75となり、特別警戒区域補正率表より、減額となる補正率を参照する)
    ※2 がけ地補正率:0.82
    (総地積に対するがけ地部分の地積の割合は200㎡/400㎡ = 0.50となり、がけ地補正率表の南方位より減額となる補正率を参照する)

    自用地の評価額

    路線価100,000円×奥行価格補正率1.00×※特別警戒区域補正率0.57×地積400㎡
    =評価額22,800,000円


    ■参考資料:がけ地補正率表

    西
    0.10以上 0.96 0.95 0.94 0.93
    0.20以上 0.92 0.91 0.90 0.88
    0.30以上 0.88 0.87 0.86 0.83
    0.40以上 0.85 0.84 0.82 0.78
    0.50以上 0.82 0.81 0.78 0.73
    0.60以上 0.79 0.77 0.74 0.68
    0.70以上 0.76 0.74 0.70 0.63
    0.80以上 0.73 0.70 0.66 0.58
    0.90以上 0.70 0.65 0.60 0.53
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