相続税基礎知識に関するコラム
広大地評価
土地評価の方法として、「広大地」の評価があります。
広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法に定める開発行為を行なう場合に道路や公園などの公共公益的施設用地(=潰れ地)の提供が必要となる土地のことをいいます。
つまり、潰れ地が生じると宅地として有効利用できる面積が減ってしまうので、相続税評価上、土地の評価額を減額することになります。ただし、その適用にあたっては、税務リスクを十分に吟味して慎重に検討する必要があります。
広大地に該当すれば、最大65%の評価減を適用することができるため、相続税申告額に大きな影響を与えます。
なお、次のような土地はたとえ面積的には広大でも、税務上の広大地として評価をすることはできません。
- すでに開発行為を終えているマンション・大規模小売店舗等の敷地⇒更に開発を行う必要性がないため
- 道路に面しており、間口が広く、奥行がそれほどではない宅地・道路が二方、三方、及び四方にある宅地等⇒潰れ地がほとんど生じないため
- 「大規模工場用地」に該当する土地⇒別途、規定が設けられているため
- 最も適した利用法がマンション適地(中高層集合住宅の建築が最適とされる土地)に該当した場合⇒潰れ地が生じないため
【広大地に該当するものの例示】
普通住宅地区等に所在する土地で、各自治体が定める開発許可を要する面積基準以上のものが該当します(広大地に該当しない条件の例示に当たるものを除く)
面積基準は、原則として、次のとおりですが、その地域の標準的な土地の面積を超えていることが必要です。
【面積基準】
(1)市街化区域、用途地域が定められていない非線引き都市計画区域
・市街化区域 三大都市圏 ⇒ 500平方メートル
・それ以外の地域 ⇒ 1,000平方メートル
用途地域が定められていない非線引き都市計画区域 ⇒3,000平方メートル
(2)用途地域が定められている非線引き都市計画区域
【広大地評価の計算方法】
広大地の価額は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次により計算した金額によって評価します。
(1)広大地が路線価地域に所在する場合
広大地の価額 = 広大地の面する路線価×広大地補正率(※)×地積
※ 広大地補正率=0.6−0.05× 地積 ÷1,000平方メートル
(2)広大地が倍率地域に所在する場合
その広大地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額を、上記(1)の算式における「広大地の面する路線価」に置き換えて計算します。