不動産に関するコラム
土地、建物の取得・保有にかかる税金等
1.取得時
主なものは、⑴不動産取得税、⑵登録免許税、⑶印紙税、⑷仲介手数料があります。
(1)不動産取得税
不動産の取得時(購入、家屋の新築、増改築、交換、贈与、土地の造成等)に一度のみ、都道府県から課せられる税金になります。(取得後半年から1年半くらいの間に納付書が届きます。)
相続や法人の合併には課せられません。
【不動産取得税の算式】
課税標準 ✕ 税率 = 不動産取得税
※課税標準(課税標準の特例あり)、税率(税率の特例あり)、不動産取得税(税額の軽減措置あり)
課税標準
本則は固定資産税評価額になります。
課税標準の特例
【土地、宅地等】
- 固定資産税評価額の1/2となる特例が適用されます。 (令和6年3月31日まで)
【家屋】
- 一定の新築住宅では1,200万円を控除できる特例が適用されます。(認定長期優良住宅の場合の控除額は1,300万円)
- 床面積50㎡以上240㎡以下の居住用もしくはセカンドハウス
- 一定の中古住宅では新築時期によって控除額が設定されています。
- 昭和57年1月1日以降新築もしくは、新耐震基準に適合することが証明されたもの
新築時期 |
控除額 |
平成9年4月1日以降 |
1,200万円 |
平成元年4月1日~平成9年3月31日 |
1,000万円 |
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 |
450万円 |
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 |
420万円 |
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 |
350万円 |
昭和48年1月1日~昭和50年12月31日 |
230万円 |
昭和39年1月1日~昭和47年12月31日 |
150万円
|
昭和29年7月1日~昭和38年12月31日 |
100万円 |
税率
本則は4%になります。
【税率の特例】
土地と住宅用の家屋に対しては3%になります。(令和6年3月31日まで)
不動産取得税
課税標準額に税率をかけたものが納める税額となります。
【税額の軽減措置】
一定の住宅の敷地の取得時に下記のA・Bどちらか多いほうの金額を税額から直接控除できます。
【一定とは】
・床面積50㎡以上240㎡以下
・居住用もしくはセカンドハウス等
・取得後3年以内に建物を新築
・土地付きの新築住宅を取得
・土地を取得した日前1年にその土地の上に新築していた場合 (借地など)
・土地を購入後、その前1年もしくは、その日から1年以内に土地の上の中古住宅を取得した場合。
【不動産取得税の計算例】
令和3年中に下記の条件の新築建売住宅を購入した場合。
・土地面積150㎡ 建物床面積100㎡
・建物:固定資産税評価額1,500万円
・土地:固定資産税評価額30万円/㎡
【建物の税額】
(固定資産税評価額-課税標準の特例)×税率(特例適用)
(1,500万円 - 1,200万円) × 3% = 9万円(建物の不動産取得税)
【土地の税額】
固定資産税評価額×課税標準の特例×税率(特例適用)
(30万円×150㎡)×1/2×3%=67.5万円
建物の税額9万円+土地の税額0円=9万円
上記新築建売住宅取得時にかかる不動産取得税は9万円となります。
(2)登録免許税
登記や登録時に課せられる税金となり、不動産の取得時では主なものが下記となります。
(原則として印紙を貼付して消印する方法によって納付します。)
【不動産取得時に登記する主なもの】
・所有権保存登記(家屋)
・所有権移転登記(家屋・土地)
・抵当権設定登記
があります。
課税標準 × 税率 = 登録免除税
※軽減税率の特例あり
課税標準
課税標準は登録する内容によって下記のようになります。
所有権保存登記 → 固定資産税評価額
所有権移転登記 → 固定資産税評価額
抵当権設定登記 → 債権額
税率
本則、軽減税率の特例共に下記に記載
登録の内容 |
本則 |
軽減税率の特例 |
住居用家屋(条件あり)*
|
土地 |
所有権保存登記 |
0.4% |
0.15% |
- |
長期優良住宅 |
1% |
所有権移転登記 |
売買 |
2% |
|
0.3% |
1.5% |
長期優良住宅 |
戸建住宅 0.2% |
共同住宅 0.1% |
相続 |
0.4% |
- |
- |
法人の合併 |
0.4% |
- |
- |
贈与・遺贈 |
2% |
- |
- |
抵当権設定登記 |
0.4% |
0.1% |
- |
*住居用家屋の軽減税率の特例には適用条件があります。
- 自己の居住用
- 新築、又は取得後1年以内に登記されたもの
- 家屋の床面積が50㎡以上である
- 所有権保存登記の場合は新築住宅
- 所有権移転登記、抵当権設定登記の場合は築20年以内(耐火建築物は25年以内)または、新耐震基準に適合している証明がある等
また、適用を受けるには市区町村の住宅家屋証明書が必要になります。
【軽減の特例を受けるには・・・】
不動産の取得(登記)の日から60日以内に特例の適用申告書を提出します。
しかし、都道府県税事務所によっては登記時に提出された書類から、自動的に判断される場合もあります。
納税通知書が送付された時、適用がされていなければ適用申請書を提出すれば取得の日から5年以内であれば受けることができます。
(3)印紙税
印紙税とは法律で定められた課税文書に対して課せられる税金になります。
不動産取得時においては売買契約書、建物の工事請負契約書、住宅ローンの金銭消費賃借契約書になります。
(原則として印紙を貼付して消印する方法によって納付します。)
税額
記載金額 |
不動産売買契約書 |
工事請負契約書 |
金銭消費賃借契約書 |
1万円未満のもの |
非課税 |
非課税 |
非課税 |
10万円以下のもの |
200円 |
200円 |
200円 |
50万円以下もの |
200円 |
200円 |
400円 |
100万円以下のもの |
500円 |
200円 |
1,000円 |
500万円以下のもの |
1,000円 |
200~1,000円* |
2,000円 |
1,000万円以下のもの |
5,000円 |
5,000円 |
10,000円 |
5,000万円以下のもの |
10,000円 |
10,000円 |
20,000円 |
1億円以下のもの |
30,000円 |
30,000円 |
60,000円 |
5億円以下のもの |
60,000円 |
60,000円 |
10,0000円 |
10億円以下のもの |
160,000円 |
160,000円 |
200,000円 |
50億円以下のもの |
320,000円 |
320,000円 |
400,000円 |
50億円を超えるもの |
480,000円 |
480,000円 |
600,000円 |
記載金額のないもの |
200円 |
200円 |
200円 |
*200万円以下のものは200円、300万円以下のものは500円、300万円超〜500万円以下のものは1,000円となります。
(注)不動産売買契約書及び工事請負契約書に課せられる印紙税の軽減は、2022年(令和4年)3月31日までの適用です。
(4)仲介手数料
仲介手数料とは不動産の売買に関して取引を依頼した不動産業者に支払う手数料となります。
仲介手数料は成功報酬であるため、取引が成立することにより料金が発生します。
また、法律で金額には上限が決められており下記のようになっています。
簡易計算式
売買代金 |
仲介手数料 |
200万円以下 |
物件価格(税抜)×5%+消費税* |
200万円超~400万円以下 |
物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税* |
400万円超 |
物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
*400万円以下であっても売主の場合は最大で18万円+消費税の手数料がかかる場合もあります。
【仲介手数料の計算例】
物件価格4,000万円(税抜)の場合
4000万円×3%+6万円+消費税=138.6万円(仲介手数料)
物件価格300万円(税抜)の場合
300万円×4%+2万円+消費税=15,4万円(仲介手数料)
2.保有時
毎年1月1日時点でその不動産の所有者に対して固定資産税と都市計画税が課せられます。
固定資産税
不動産保有時では土地・家屋に対して市町村*から課せられる税金になります。
*東京23区では都が課税しています。
納付書は市町村から固定資産税通知書とともに毎年4月から6月ごろに送られてきます。
都市計画税と共に納付します。
【固定資産税の算式】
課税標準 × 税率 = 固定資産税
※課税標準の特例あり、軽減の特例あり
課税標準
固定資産税課税台帳に登録されている固定資産税評価額*になります。
評価額は各市町村(東京都23区は都)が算定し3年に1回見直しがされます。
また、公示価格の70%程度の評価になります。
【課税標準の特例】
住宅用地 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)→課税標準×1/6
一般住宅用地(200㎡超の部分)→課税標準×1/3
但し、建物の課税床面積の10倍が上限
税率
1.4%が標準税率になります。
(標準税率以外の市町村もあります。)
固定資産税
課税標準に税率をかけたものが納める税額となります。
【軽減の特例】新築住宅
床面積120㎡までの部分について3年間*固定資産税が1/2に軽減
*認定長期優良住宅や3階建て以上の耐火・準耐火の住宅は5年間
*認定長期優良住宅で3階建て以上の耐火・準耐火構造のマンションや戸建ては7年間
都市計画税
毎年、1月1日時点で市街化区域内に土地・建物を保有者に市町村から課せられる税金になります。
都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てられます。
固定資産税の納付書に都市計画税も合算されています。
【都市計画税の算式】
課税標準 × 税率 = 都市計画税
課税標準の特例あり
課税標準
固定資産税評価額になります。
【課税標準の特例】
小規模住宅用地→面積が200㎡までの住宅用地は課税標準が1/3
それ以外の住宅用地→課税標準が2/3
税率
各市町村で設定されていますが、0.3%が上限になります
都市計画税
課税標準に税率をかけたものが納める税額となります。